介護施設の給食コストを見直すには?食材費・人件費・委託料の考え方

介護施設の給食費用を検討する担当者が、集計表と電卓を確認するイメージイラスト
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給食費用の負担を感じていても、利用者様の食事内容や厨房の体制をどこまで見直せるのか、判断に迷うことがあります。「食材費が増えた理由を知りたい」「委託料の見積もりをどう比べればよいか分からない」という施設担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

給食コストを見直す際は、金額を下げることだけでなく、利用者様に必要な食事を継続できるかを確認することが大切です。この記事では、主に施設内の厨房で調理する介護施設を対象に、費用の整理方法、食事の質を保つための見直し方、委託費用を比較する際のポイントを解説します。

この記事の目次

最初に把握したい、給食にかかる費用の内訳

まずは請求書や契約書、施設内の経費資料をもとに、給食に関係する費用を整理します。下表は費用を確認するための例であり、すべての金額をそのまま足し合わせるものではありません。委託料に含まれる費用と、施設が別に負担する費用を分けて確認しましょう。

確認する費用主に確認したい内容
食材費食材・調味料・おやつなどの費用。栄養補助食品やとろみ調整食品等も、購入する担当と費用を負担する側を確認する。
施設が直接負担する人件費等施設が雇用する職員の給食業務にかかる給与・手当・社会保険料の事業主負担、採用・教育費等。委託後も施設に残る業務を含める。
委託先への支払い食材費を含むか、どの業務を含むか、毎月一定の費用と食数等に応じた費用は何かを、契約書や見積書で確認する。
光熱水費・衛生管理等厨房の電気・ガス・水道、洗剤、衛生用品、点検等の費用。施設全体の費用と分けられるか、誰が負担するかを確認する。
設備・備品にかかる費用厨房機器の購入・リース・修理、食器や備品の購入など。日常的な費用と、一時的に発生する支出を分けて確認する。

例えば、委託先への支払いに食材費が含まれている場合、同じ食材費を別に加えると、重複して数えることになります。委託料に含まれる項目は契約によって異なるため、見積書の項目名だけでなく、支払いの対象となる業務と費用を確認します。

利用者様が負担する「食費」とは分けて考える

ここで扱うのは、施設が給食を運営するための費用です。利用者様が負担する食費とは区別して整理します。食費の設定・変更では、施設種別に応じた基準や契約条件を確認し、説明・同意などの必要な手続きを踏むことが大切です。対象となる介護保険サービスには、食費の説明や契約等に関する指針があります。運営費用が増えたことだけを理由に、利用者様の負担額を決めないようにしましょう。[3]

費用の増減は、単価・食数・業務内容に分けて確認する

集計する条件をそろえ、食数の変化も確認する

月ごとの費用を比べる際は、対象月の日数、朝食・昼食・夕食それぞれの食数、おやつや職員食を集計に含めるかを確認します。実際の食数を同じにするのではなく、費用と食数を数える範囲をそろえます。食事の形状・状態を指す「食事形態」や、食事制限への対応が増えていないかも確認しましょう。総額だけで判断せず、単価・食数・業務内容の変化に分けて整理します。

食材費については、購入した金額と、その月に使用した食材の費用を区別します。まとめ買いや在庫の増減がある月は、請求額だけでは使用状況が分からないため、月初と月末の在庫も確認しましょう。

月額と1食あたりの費用を、両方で見る

同じ範囲で集計した給食費用を、その期間に実際に提供した食数で割ると、1食あたりの平均的な運営費用を把握できます。食材費だけの金額と人件費等を含む金額では、比較する条件がそろいません。おやつや職員食を含める場合も、費用と食数の両方に反映し、同じ計算方法を使います。朝昼夕の割合や食事内容が違う施設同士では、平均額だけで費用が適切かどうかを判断しないようにしましょう。

また、食数が減っても、必要な人員や設備の費用が同じ割合で減るとは限りません。その場合は、総額が変わらなくても1食あたりの費用が上がります。平均額だけでなく、月額の内訳と食数を一緒に確認しましょう。

通常の月額費用と、一時的な支出を分ける

設備の購入・修理や委託先の切り替え準備などの一時的な支出は、通常の月額費用と分けて確認します。初年度だけの支出と、翌年度以降も必要な費用を整理しましょう。設備の取得費を使用する期間に分けて費用とする「減価償却費」を用いる場合は、購入代金を同じ費用として重ねて数えないよう注意が必要です。支払額を見るのか、会計上の費用を見るのかを整理し、集計方法は経理担当者と確認します。[9]

食事の質を保ちながら見直したい4つのポイント

費用の見直しは、利用者様に必要な栄養量や食事形態への対応、食物アレルギーへの対応、衛生管理を維持することが前提です。食事内容に関わる変更は、施設の体制に応じて管理栄養士・栄養士、看護職員などの関係職種と相談し、必要に応じて主治医等の判断を確認したうえで、変更内容を厨房と共有します。[1][2]

食数の連絡と、発注・在庫管理を見直す

入退所や外出などによる食数変更を、いつ、誰が厨房へ伝え、受け手がどう確認するかを決めます。在庫を確認してから発注する、注文できる単位と使い切れる量を見比べるなど、余分な購入や使い残しが起きる場面を見直しましょう。直前の体調変化にも対応できるよう、締切後の変更を伝える方法も決めておきます。

在庫を減らす場合も、納品の遅れへの備えや災害用の備蓄まで一律に減らすのではなく、日常の使用分と備蓄分を区別して管理します。食材の保存条件や期限を守ることも前提です。[1][2]

食べ残しは、量を減らす前に理由を確認する

使い切れずに廃棄した食材、提供前に余った料理、利用者様の食べ残しは、分けて確認します。食べ残しが多い場合も、一律に提供量を減らすのではなく、体調、好み、食べやすさ、提供温度などを施設の関係職種と確認し、必要な栄養を摂れる内容か検討します。[1]

食材や献立を変える際は、購入単価だけでなく、下処理にかかる時間、皮や骨などを除いて実際に食べられる量、必要な食事形態への調整も確認します。変更後の食材の原材料やアレルギー情報を確かめ、必要な対応を施設と厨房で共有しましょう。利用者様に必要な食事形態を、費用だけで変更することは避けます。

人件費は、人数だけでなく作業の流れを見る

人件費の見直しを、単純な人員削減と同じ意味で考えないことが大切です。食数変更の伝達漏れによる作り直し、備品を探す時間、特定の時間帯に集中する作業などを確認し、手順や役割分担を整えます。休憩や教育の時間を確保し、調理、利用者様と提供する食事の確認、衛生管理を行える体制を維持しましょう。

作業時間が短くなっても、それだけで支出が減るとは限りません。実際の時間外勤務や採用・教育の負担がどう変わったかを、職員の働き方と併せて確認します。委託中の場合は、施設側から受託会社の責任者へ課題を伝え、改善方法を相談します。

設備や光熱水費は、必要な機能を保って見直す

水漏れや機器の不具合、作業の重複などを点検し、修理や使い方の見直しで改善できる点を確認します。省エネルギーを理由に、冷蔵庫・冷凍庫の温度設定や加熱・洗浄・消毒の手順を安易に変えず、機器の取扱説明書や衛生管理上の手順を守ることが前提です。[2][8]

機器を更新する場合は、購入・設置費だけでなく、保守費用、操作や清掃にかかる時間、工事中の食事提供も含めて検討します。導入にかかる支出と、導入後に見込める電気代や作業時間の変化を分けて確認し、短期間で費用を回収できると決めつけないようにしましょう。

直営と委託、委託先同士の見積もりは同じ条件で比べる

直営と給食委託を比較する場合、直営の食材費だけと委託料全体を比べても判断できません。施設が負担する給食関連費用の総額で比較し、委託後も施設に残る業務や費用を含めて整理します。委託先同士の比較では、食数や依頼する業務の条件をそろえたうえで、料金方式や契約条件の違いを確認しましょう。

比較・確認する項目確認したい内容
食数・提供日・食事内容朝昼夕の食数、提供日数、おやつ、行事食、必要な食事形態や食事制限・アレルギー対応など。
委託する業務と役割分担献立作成、発注、調理、盛り付け、配膳、洗浄、清掃、記録等の担当。施設に残る業務や人員も確認する。
基本料金と追加費用月額・1食あたり等の料金の組み合わせ、食材費を含むか、別途請求される項目、税込・税抜の表示。
食数が変わった場合最低料金の有無、欠食(外出などで食事を提供しないこと)の連絡期限・精算方法、食数増減時の料金変更条件。
設備・備品・準備費用厨房機器、光熱水費、食器、衛生用品等の負担者。開始前の準備や契約終了時の費用も確認する。
価格改定と業務を続ける体制価格を見直す条件や協議方法、人員を確保して業務を続ける体制、欠員時や設備故障時の対応。

例えば、食材費と衛生用品費を含む見積もりと、これらを施設が別に負担する見積もりでは、表示された委託料だけでは比較できません。施設が別に負担する費用も加えた合計を確認します。また、締切後の欠食などで、実際に提供した食数と請求対象の食数が異なる条件がないかも確認しましょう。料金方式や対象業務は、事業者・契約ごとに異なります。

給食を委託すれば必ず費用が下がるわけではありません。費用が同程度でも、採用や厨房運営の負担が変わる場合があります。支出の増減と、施設側に残る業務、食事提供の体制を分けて評価しましょう。

委託料の見直しは、費用の背景を共有して協議する

現在の委託料を見直したい場合は、施設の予算上の事情と、維持したい食事内容・業務範囲を共有します。委託先にも費用が増えた理由や見直せる点を確認し、必要な食事と人員体制を続けられる条件を相談しましょう。食材費や人件費が上昇している場合は、その状況も踏まえて話し合うことが大切です。

内閣官房・公正取引委員会の指針では、従業員の給与などにかかる労務費の上昇を踏まえた価格協議、最低賃金や賃金統計などの公表資料に基づく説明、交渉内容の記録が示されています。詳細な内部情報の開示だけを前提とせず、こうした資料も使って話し合います。合意した金額、業務範囲、適用時期などを記録し、必要に応じて契約書や覚書に反映しましょう。[4]

見直した後は、費用と食事提供の状況を一緒に確かめる

改善策を実施する前に、対象の費用、担当者、開始時期、確認日を決めておきます。実施後は費用の集計範囲をそろえ、食数・単価・業務内容の変化も確認します。併せて、食べ残し、提供時間、職員の負担、食事の取り違えを防ぐ確認や衛生管理に支障が出ていないかを確かめましょう。

利用者様が実際に食べた量や体調を施設の関係職種が確認し、必要な情報を厨房・受託会社と共有します。費用が下がっても、必要な食事が提供できない、負担が別の職員に移っただけ、といった状態であれば、取り組みの内容を再調整することが大切です。[1]

給食コストを相談する前に、分かる範囲で整理したいこと

費用の相談では、最初から詳しい計算資料をそろえる必要はありません。施設が把握している範囲で次の情報を整理しておくと、現在のお困りごとを伝えやすくなります。

確認項目相談時に伝えたい内容
施設と食数施設の種類・所在地、朝昼夕の食数、提供日数、おやつや職員食の有無。
現在の運営と費用直営・委託の別、分かる範囲の費用内訳、施設が別に負担している費用。
維持したい食事・業務必要な食事形態、アレルギー対応、献立や提供時間、依頼したい業務、主な厨房設備。
困りごとと希望増えた費用や見直したい項目、予算上の希望、検討時期。まだ決まっていないことは、その旨を伝える。

初回の相談では、利用者様の氏名や詳しい病歴など、個人を特定できる情報は送らず、必要な食事形態ごとの人数などで条件を伝えましょう。契約書や請求書を共有する場合は、共有してよい範囲と必要な情報を確認し、不要な個人情報や機密情報を除いて渡します。[5]

給食コストの見直しについてよくある質問

Q.「1食いくら」という相場だけで判断できますか?

A.食材費のみか、人件費や管理業務も含むかで金額の意味が異なります。食数や食事内容、施設側が担当する業務などの条件をそろえ、施設が別に負担する費用を含む月額の総額と、食事提供の体制を確認してください。

Q.食数が減れば、委託料も同じ割合で下がりますか?

A.契約内容によって異なります。毎月一定の料金や最低料金が設けられている場合もあるため、食数に応じて変わる部分、欠食の扱い、見直しの条件を確認しましょう。

Q.費用削減の目標額が決まっていなくても相談できますか?

A.目標額が決まっていない段階でも、どの費用が増えたか、予算上どのような負担を感じているかを伝えて相談する方法があります。必要な食事内容と運営条件を共有し、見直せる範囲や受託の可否を確認しましょう。

給食費用と運営体制を見直したい施設様へ

給食コストの見直しでは、支出を減らすことだけでなく、必要な食事と働きやすい厨房体制を継続できるかを確認することが大切です。委託料に含まれる費用と施設が別に負担する費用を整理し、施設と厨房の双方で改善できることを考えましょう。

株式会社シーエスピーでは、医療・福祉施設内の厨房で調理する給食受託サービスを提供しています。食材の調達や食材ロス、業務の進め方の見直しに取り組み、食事の質とコストのバランスを大切にしています。[6][7]

給食費用や現在の運営についてお悩みの施設様は、まずは分かる範囲でお困りごとをお知らせください。施設の所在地、食数、設備、必要な業務等を確認したうえで、対応の可否を含めてご案内いたします。費用や受託条件は施設ごとに異なり、費用削減を一律にお約束するものではありません。

参考資料

施設の種類や運営方法によって、適用される基準や契約条件は異なります。栄養・衛生管理の資料は、それぞれの対象施設や適用範囲を踏まえて参照してください。個別の会計処理は経理担当者等に、制度や契約に関する判断は所管行政機関や関係する専門家にご確認ください。資料確認日:2026年11月4日。