介護施設の厨房スタッフが不足したら?人手不足の原因と対応策

介護施設の給食は、朝食・昼食・夕食などを決められた時間に提供する必要があり、厨房スタッフの欠員や急な休みが運営に影響する場合があります。採用活動を続けても人員がそろわず、「今の体制で食事提供を続けられるだろうか」と悩む施設担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人手不足への対応は、単に人数を増やすことだけではありません。作業が集中する時間帯、食数や食事形態の変更の伝え方、厨房と施設の役割分担などを整理することで、改善の糸口が見つかることもあります。この記事では、主に施設内の厨房で調理する介護施設を想定し、日々の運営で確認したいこと、対策の考え方、給食委託を検討する際のポイントを解説します。
この記事の目次
厨房スタッフの人手不足が食事提供に影響する場面
厨房の仕事は調理だけではありません。食材の受け入れ、下処理、盛り付け、食事内容の照合、配膳に向けた準備、食器の洗浄、清掃、記録など、多くの作業がつながっています。必要な人員が不足すると、一つの作業の遅れが次の工程に影響することがあります。
人手が足りないからといって、加熱・冷却・保管などの衛生管理や、アレルギー・食事形態の確認を省略することはできません。安全な食事提供を前提に、必要な作業と人員の組み合わせを見直すことが大切です。[2]
人手不足の原因と厨房業務の負担を整理する
採用状況と勤務時間帯の偏りを確認する
人員が不足する理由は施設によって異なります。求人を出しても応募が集まりにくい、早朝や夕方に勤務できる職員が限られる、入職後の教育に時間がかかる、退職や急な欠勤が重なるといった事情が考えられます。応募や採用の状況、勤務が不足しやすい時間帯、職員の定着状況を確認し、募集条件や勤務体制を見直す必要があるか整理しましょう。
時間帯ごとの作業量を確認する
まずは朝食・昼食・夕食それぞれについて、準備から片付けまでにどの作業が何時ごろ集中しているかを確認します。調理担当者だけでなく、盛り付けや洗浄の担当者が不足しやすい時間帯も見ておきましょう。
「忙しい」という感覚だけでは、必要な人員や改善策を判断しにくいものです。作業開始時刻、終了時刻、担当人数、急な変更の発生状況などを一定期間記録すると、どの時間帯に負担が集中しているかが分かりやすくなります。
食数と食事の変更情報を整理する
介護施設では、入退所や体調の変化などに伴い、食数や食事制限、食事形態(噛む力や飲み込む力などに合わせて調整した食事の形状・状態)が変わる場合があります。変更の連絡が複数の人を経由したり、締切時刻が不明確だったりすると、確認作業や手戻りが増える原因になります。
食事形態や飲み物のとろみは、名称が同じでも施設によって内容が異なることがあります。利用者様に必要な食事形態やとろみの程度は、施設の体制に応じて主治医や管理栄養士、看護職員などの関係職種が確認します。厨房には、決まった内容と、いつの食事から変更するかを正確に伝えましょう。[1][3]
特定のスタッフに仕事が集中していないか確認する
献立や発注の管理、特別な調理手順、機器の操作、食事内容の照合などを、特定のスタッフだけが把握している場合、その方が休むと業務が滞りやすくなります。手順書や引き継ぎ方法を整え、担当できる人を段階的に増やすことも検討しましょう。
厨房の負担を見直すための4つの対策
作業工程と時間配分を見直す
食材の納品時刻、下処理、盛り付け、洗浄・清掃などの順番を整理し、同じ時間帯に作業が集中しないかを確認します。例えば、事前に準備できる作業と、提供直前に行う必要がある作業を分ける方法があります。ただし、食材の温度管理や保存時間、衛生管理上の手順を守ることが前提です。[2]
人員配置と業務の習得を見直す
必要な技術や経験に応じて担当業務を分け、責任者が不在の場合の連絡先も決めておきます。シフトの時間帯を調整する場合は、休憩や労働時間の管理を含めて検討しましょう。新人に業務を任せる際は、教える担当者や確認方法を明確にし、無理に作業を集中させないことが大切です。
施設と厨房の情報共有を整える
食数変更、食事制限、食物アレルギー、食事形態などの連絡について、施設と厨房それぞれの連絡窓口、変更の締切時刻、伝えた内容を確認する方法を決めます。直前に判明した変更や異常が発生した場合の連絡方法も、通常の変更とは別に決めておきましょう。
利用者様の個人情報は、食事提供に必要な範囲に限って共有し、閲覧できる担当者や管理方法も確認しておきましょう。[5]
設備や食材の調達方法も含めて検討する
厨房機器の状態や洗浄設備、食材の納品頻度などによって、必要な作業時間は変わります。機器の更新や調達方法の見直しが負担軽減につながる場合もありますが、導入費用、厨房の広さ、保守点検、食事の品質や食事形態への対応などを併せて確認する必要があります。
給食を直営で続けるか、委託を検討するか
厨房の人手不足への対応として、施設が採用や人員配置を見直しながら直営を続ける方法のほか、給食業務のうち契約で定めた範囲を専門事業者に委託する方法があります。どちらが適しているかは、施設の規模、現在の人員、厨房設備、求める食事内容、費用などによって異なります。
委託すれば必ず人手不足が解消したり、費用が下がったりするわけではありません。契約内容に加えて、必要なスタッフを確保できるか、欠員時にどう対応するか、いつから運営を始められるかを、候補となる事業者に確認することが大切です。
委託後も、施設と受託会社の連携が欠かせない
給食業務を委託しても、施設と受託会社の双方に役割があります。健康増進法上の「特定給食施設」(一定規模の食事を継続して提供する施設)に該当する場合、委託後も栄養管理の責任は施設側にあり、受託事業者の業務状況を定期的に確認することが求められます。受託事業者も、契約や関係法令に基づき、調理・衛生管理などの業務を担います。[1]
請負形式の委託では、受託事業者のスタッフに対する作業上の指示や勤務管理は、受託事業者が行うことが基本です。施設側から受託会社へ必要な食事内容や変更事項を伝えることと、受託会社が自社スタッフに業務指示を行うことを区別し、緊急時の連絡方法も決めておきましょう。[4]
給食委託を相談する前に整理しておきたいこと
見積もりや受託の可否を確認する際は、現在の厨房の状況を整理しておくと相談を進めやすくなります。最初からすべての資料をそろえる必要はありませんが、次の項目が分かると、依頼したい業務を伝えやすくなります。
施設内の厨房で調理業務を委託する場合、原則として受託事業者に飲食店営業の許可が必要です。HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理や、施設と受託事業者の役割分担についても確認し、必要な許可・手続きは管轄の保健所に確認しましょう。[2][6]
検討段階では、利用者様の氏名や病歴など、個人を特定できる資料をむやみに共有せず、食事形態別の人数などを使って相談を進めるとよいでしょう。[5]
厨房の人手不足についてよくある質問
Q.急な欠員で食事提供に支障が出そうなときは、何を優先すべきですか?
A.まず施設と厨房の責任者で欠員状況を共有し、提供が必要な食数、食事形態、食物アレルギーへの対応、提供予定時刻を確認します。通常どおりの調理が難しい場合は、事前に決めた代替手段などを協議し、関係者へ速やかに連絡しましょう。衛生管理や食事内容の確認を省略してはいけません。
Q.給食を委託すれば、採用や人員不足の悩みはなくなりますか?
A.給食業務を請負形式で委託する場合、受託事業者が自社スタッフの採用・配置・労務管理を担います。ただし、施設側に残る業務や欠員時の対応は、契約内容によって異なります。委託によってすべての人員不足が必ず解消するわけではないため、必要な体制や対応方法を契約前に確認してください。
Q.給食委託は直営より費用を抑えられますか?
A.必ずしもそうとは限りません。直営の人件費、食材費、設備費などと、委託料に含まれる業務や追加費用を、同じ条件で比較する必要があります。費用だけでなく、必要な食事の提供体制が維持できるかも確認しましょう。
Q.食数が少ない施設でも相談できますか?
A.相談することはできますが、実際に受託できるかは、施設の所在地、食数、厨房設備、依頼する業務、人員の確保状況などによって異なります。食数や希望条件が確定していない場合も、分かる範囲の情報を伝え、対応の可否を確認しましょう。
介護施設の厨房運営でお困りの施設様へ
厨房スタッフの不足が続く場合は、採用活動と併せて、作業の流れや情報共有、人員配置を見直すことが重要です。そのうえで、直営での運営継続が難しいと感じる場合には、給食委託も選択肢の一つになります。
株式会社シーエスピーでは、医療・福祉施設内の厨房で調理する給食受託サービスを提供しています。厨房の人員体制や日々の給食運営についてお悩みの施設様は、現在の状況を分かる範囲でお知らせください。施設の所在地や食数、設備、必要な業務などを確認したうえで、対応の可否を含めてご案内いたします。
参考資料
施設の種類、所在地、運営方法によって適用される基準や必要な手続きは異なります。個別の許可・届出は管轄の保健所、契約や労務管理に関する判断は関係する専門家へご確認ください。資料確認日:2026年11月2日。


